猫に安全な精油(アロマ)はあるの?命に関わる?植物療法士が解説
こんにちは。
ヴィーガンコスメ「ラヴィステラ」代表、植物療法士の野田さとみです。
ヴィーガンコスメという特性上か、お客様の中には猫ちゃん、ワンちゃんと暮らしておられるお客様が多いように感じます🐱
犬猫の殺処分問題をきっかけに畜産のことを知り、動物を食べ物や化粧品、生活のために利用するのが嫌になった・・
そんな方も多いのではないでしょうか。
何を隠そう、わたしもその一人です。
今も保護猫出身の今年で12歳になる愛猫と暮らしています。☺️
動物を愛する飼い主さんは、大切な家族の一員であるワンちゃん、猫ちゃんにも自然由来で安全なものを使用したいという方は多いかと思います。
そこで選択肢のひとつとして、オーガニックや、人口香料でなく「精油(アロマ)」を使用したペットシャンプー等が選択肢に入ってくるかと思うのですが、フィトセラピストとして申し上げたいのは、
動物に香料はもちろんのことですが、安全性の確証のない精油は使用しないでください。ネコ科であれば精油は使用しないでください。
ということです。
猫にアロマ(精油)が危険な理由のひとつは、人間よりも皮膚が薄く、体内に吸収されやすいことです。
精油は呼吸器等吸入する以外にも、皮膚から血管を通り吸収されます。これは、精油の分子構造が非常に小さいためです。
特に猫は皮膚が薄く、人間の半分ほどの厚さしかありません。
飼い主さんの皮膚に塗られたエッセンシャルオイルが猫の毛について、それを猫がなめたりこすったりすることで皮膚から吸収されるかもしれません。
皮膚が薄い猫は皮膚を通して血液中に様々なものが吸収されてしまいます。
また、猫ちゃんと暮らしている飼い主さんならご存知の通り、猫ちゃんは綺麗好きで1日に何度も毛繕いしますよね。
ふたつめは、猫は完全肉食動物であり、植物由来の成分を分解する機能が弱いため、肝臓でうまく消化されずに中毒を起こすということです。
事例では、アメリカで販売・使用されていたノミ取り薬やシャンプーに「ティートゥリー」という精油が配合されていて、使った動物たちが次々に体調悪化し亡くなった例も報告されています。
書籍『愛しのペットアロマセラピー』(p.199)にはこのような記述があります。
・猫は、クマリン、モルヒネ、特定のサルファ剤、サリチル酸などの薬物に対して、人より解毒が非常に緩慢なので、投与量と投与法において重大な問題が発生する。
・猫は、ネコ科特有の生物学的特異性が原因で、特定の薬物に対して、まったく異なる反応を示す。
・猫は、フェノール類や他のベンゼン環を有する化学物質に対して、特異な感受性を示す。
アロマセラピーに使う精油・アロマオイルは、自然な状態の花や葉などの成分を、約100~1000倍に凝縮したものです。
精油1kgを得るために、ラベンダーなら花穂を100~200kg、
ローズなら花を3~5トン※も必要とします。
(※日本アロマ環境協会によるデータ)
精油は、大量の原料植物からほんの少ししか採れない貴重なエッセンスです。
ほんのちょっとだから・・のつもりでも、体内で分解できないものを蓄積することで体調悪化につながってしまうかもしれません。
日本獣医学会の見解も見てみましょう。
身体に入ってくる薬物や毒物の種類にもよりますが、多くの場合、人、犬、猫で代謝速度が異なります。アロマオイルは天然香料、エッセンシャルオイル、化学的に合成された香料をフェノール、アルコールや植物油などで希釈したものを指すことが多いですね。香料の種類は極めて数が多く、そのすべての物質について犬や猫の体内での代謝が分かっているわけではありません。
また溶剤となっているフェノールは哺乳類にとって急性毒性がありますし、アルコール類は人や犬に比べて猫では代謝されにくいことが分かっています。その他、犬や猫にはヤコブソン器官(鋤鼻器)という器官があって、人の何倍も鋭敏に匂いをかぎ分けることができます。
従いまして、人と犬や猫では匂いを感じる強さが違いますので、人が良い匂いと感じても、犬や猫が良い匂いと感じるかどうかは甚だ疑問です。
また、人に匂いの好みがあるように、犬や猫にも好みがあってもおかしくありませんが、それを知るのは現時点で不可能と言って良いでしょう。結論としまして、「現時点では、すべてのアロマオイルに毒性がある。」という断定はできていません。しかしながら、少なくとも犬猫に安全性が確認されているものを使用された方が安心です。無理に証明されていないものを使って犬や猫に中毒を起こさないように気をつけて下さいね。
日本大学獣医生化学研究室 研究員
難波 信一
(2018/9/25 掲載)
犬猫への精油の使用についての研究はまだ確固としたデータが確率できていない部分も多いです。
なにしろ植物ひとつとっても様々な成分がありますので、膨大なデータを取る必要があります。
そのペットシャンプー、本当に動物のため?
ペットシャンプーの成分を見てみますと、多くの商品に香料が使用されていますね。でもこれ、本当に動物のためなのでしょうか。
犬は人間の1億倍の嗅覚を察知できるといわれています。
人と比較した犬の嗅覚は以下の通りです。
人と比較した犬の嗅覚
臭気の種類 | 倍 率 |
酸臭 | 1億倍 |
吉草根(きっそうこん)の香気 | 170万倍 |
腐敗バター臭 | 80万倍 |
スミレの花臭 | 3000倍 |
ニンニク臭 | 2000倍 |
(出典:日本警察犬協会)
シャンプー後にいい香りになって喜んでいるのは実は飼い主さんだけ、という可能性も否定できませんし、動物さんたちが同じように心地よく感じているかはわたしたちにはわかりません。
たとえ天然の香りでも、人と同じように動物たちにも香りに好き嫌いはあるでしょう。
ペットシャンプーなどを選ぶ時は、人工香料を避け、少なくとも安全性の証明された精油を香料として使用したものを選ぶこと。
完全肉食の猫ちゃんであれば無香料のシャンプーを選んであげてくださいね。
(株)ラヴィステラ代表取締役、JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJアロマテラピー検定1級、JOCA認定オーガニックコスメアドバイザー。ハーブ、アロマテラピー、ヴィーガンコスメ講師としてスクールを運営。お肌と地球に優しい化粧品を広めたいという想いから、ヴィーガンコスメブランド「ラヴィステラ」を設立。自ら化粧品開発に携わる。